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人間やめたくなったら読むのをお勧めする本① 平山夢明 異常快楽殺人

この世は世知辛い。生き馬の目を行くようだ。人は常に、人の足を引っ張ることを考えあい、まじめな人間がまじめなまま生き残るなんてことはかなりまれだ。

 

よくよくフレッシュさなんて言われているが、フレッシュというのは俗世間に染まっていないことを指すことが多いし、そのうちフレッシュではなくなるから大切なのだ。

 

とにかくこの世は恐ろしい。まじめに生きているあなたはもしかすると、生きることに耐えがたい苦痛を感じて、人間、つらい、牧場で牧草をはむ乳牛になりたい。そんなことを思ったり、車で歩道をぶっちぎりたい、青龍刀をもって繁華街を練り歩きたい、なんて思いが頭をよぎったりするかもしれない。

 

今回から、そんなきもちになった時に読んでいただきたいおすすめの書籍を紹介していく。 個人的にこういったものがあった方がいいかと思って書きました。随時更新していきます。

平山夢明 異常快楽殺人

『異常快楽殺人』は”ハムスターおじさん”*1という呼び名でも知られるホラー作家平山夢明氏の初期の作品である。

 

ハンニバルレクター博士”のモデルにもなったヘンリー・リー・ルーカス。『悪魔のいけにえ』『サイコ』などのホラー映画に影響を与えた、エド・ゲイン等実在したいじょ犯罪者をモチーフにしたノンフィクションという体で、かれらの実際の犯行が平山氏の筆致によってつづられていく。

 

あなたは恋人に裏切られたり、職場で理不尽な上司によって、苦境に立たされているかもしれない。もしかすると、彼らの命を奪って問題を解決するような人間の道を外れた行為を行うことが頭をよぎっているかもしれない。

 

だが、あなたは悩んでいる。家族の顔や貴方を形作っている、さわやかな思いでがよぎり、ためらっているかもしれない。

 

それは至極まっとうな気持ちだ。悩むのは当然だ。おそらくそれが一般的な人間の反応だろう。つらくなったら逃げてしまえばいいのである。

 

だが、異常快楽殺人に出てくる彼らは違う。初めからどこかが壊れている。何らかのきっかけがあったのは事実だろう。

 

だが、親に虐待されようが、小さいときにトラウマがあろうが、兵士として従軍し人の命を奪うことをアリやゴキブリを殺すのと並列にして考えなければいけない環境に置かれても、人は人だ、容易に人間を手にかけるという手段を選んだりはしない。

 

だが、彼らはその人間か人間ざるかの壁をやすやすと踏み越えていく。

 

もしあなたが究極の解決を希求している、あるいは耐えきれない激情に体が突き動かされそうになっているのであれば一回本書を読んで、自分と彼らの違いについてじっくり考えてみるのもいいかもしれない。

 

人間の境界をやすやすと越えていく彼らは実に魅力的でもある。くれぐれも、彼らのこころの底にはまりすぎてしまわぬよう注意していただきたい。

*1:五時に夢中という関東ローカル番組に出演した際にこの呼び名がついた