いつみても適当

ブログです。

チャックが全開のジーパンと下北沢の街並み

 昨日散歩がてら吉祥寺や下北沢など、俗に「おしゃれ」と言われる町をうろうろしていた。私自身はおしゃれとは無縁なことこの上ない人間だ。中野や新宿、立川とかが居心地が良い。

 だが、この日は「たまにはいつもと違う場所に行ってみないと思考も凝り固まってくるだろう」という思いが去来し、「まあ行ってみるか」といった気持ちになったので訪れることにしたのだった。

 

 普段こういった街にあまり訪れないこともあってか、うろうろしているといろんな意味でいい出会いがあり、結構楽しく過ごすことができた。だが、歩いている最中、ずっと気になることがあった。町を歩いているとサブカルが好きそうな女子やカップルが私の姿を見ながら、ほくそ笑んでいたのである。

 

 私はそこそこ自分が卑屈であることを自負している。実際緊張しやすいせいか人が想像もつかないような変な挙動をし、困らせることがあるのも事実だ。この時もどうせいつものことか、と当初は思っていた。

 

 だが、通り過ぎる人通り過ぎる人すべてが、といっても過言でないほどに多くの人間が、私の姿を一瞥し、なんとも言えない笑みを浮かべていた。これにはさしもの私も少し気分を害した。いつもなら「まあどうせ、変な動きとかしちゃうしね」くらいに思って、卑屈な気持ちで自分を守っているのだが、そうも言ってられない。

 

 ここがおしゃれな街だから、「お前のような芋っぽい奴は来るな」ということなのだろうか。「アーミー柄の上着ジーパンなんか合わせちゃってよ、めっちゃダサいな、あの男」なのだろうか。いろいろな思いが頭をめぐってしまった。

 

 そこまで言われる筋合いはない。だがはたから見ると私はすべてが変な人間なのだろうか。悩みは尽きなかった。

 

 そんな悶々とした思いを募らせながら、私は家路についた。ずっと歩いたり、電車に乗って移動したりで全くトイレに行く機会がなく、尿意をずっと我慢していた私はまず手を洗ったり、服を脱いで一息ついたりすることもなく、家のトイレに駆け込んだ。

 

 そこで気づいた。ジーパンのチャックがびっくりするくらい開いている。何故こんなに全開なのかはわからないが。私はチャックを全開にしながら、下北沢や吉祥寺といった住みたい街ランキングの上位に君臨し続ける、おしゃれな町々を都合6時間ほど練り歩いたことになる。

 

 そりゃ私の姿を見た人は笑うだろう。それもちょっと嫌な感じで。私のチャックの開きっぷりは、何ならわざとやっていると思われてもおかしくないほどだった。どちらかと言えば何かをけしかけていたのは私の方だった、と言ってもいいくらいだろう。

 

 「おしゃれ気取りやがって、俺のパンツでも見とけ!!」

 

 それくらい私のジーパンのチャックは開いていた。もしかすると普段ため込んでいる私の自己主張の表れだったのかもしれない。(もちろん全く意識していなかったことはここに付記しておく)

 まあよかった、少なくも自分は普通にしているつもりなのに、ヤバイやつである、ダサい奴である、ということをおしゃれな街を歩く人々に認定されたわけではなかった。

 

 まあナチュラルにヤバイやつだったと思われていたかもしれないが、ひとまず安心だ。今度はしっかりチャックが閉じているか確認してから行くことにしよう。

 

おわり