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黒髪ピピピというおすすめYoutuberの話

最近よく見ているYoutuberがいる。黒髪ピピピという北海道に住む30歳の男性Youtuberだ。彼の売りを一言で言うならば、「クズであること」だと思う。

 

動画をそのまま参考にするならば、彼はつい最近まで親からの支援を受けて暮らしていた。しかも借金が150万円あり、それもどんどん増えている。大学は数日で中退し、会社に至っては100社以上バックレた。まぁとんでもないクズである。決して明るいわけではないし、正直なところ友達にはなりたくない。

 

だが、クズなことをさらけ出した彼の動画は見ていて何だか痛快だ。生活保護をもらっているキャバ嬢と暮らしていた時の話や実家が抱えていた問題、そして自分がクズであることをあけすけなく話す。親が見ていていたら卒倒しそうだが、ちゃんと実家にも帰っているみたいである。ますますすごい。

 

こんな感じで、ピピピ氏は徹頭徹尾クズなのだが、彼が話す語り口はもともとラノベ作家を目指していたということもあってか、どこか叙情的だし、ひたすら1人でしゃべることを練習していたということもあってか、なんというかヒップホップをほうふつとさせるような独特のリズム感もあって、ついつい聞きいってしまう魅力がある。

 

たまにあまりにもクズだったり自己陶酔していたりすることがあって、ちょっと耳の裏がかゆくなることがあるのもまた魅力なのかもしれない。

 

そんなピピピ氏がYoutube上で急に話題になったのは2018年中旬ごろだ(それ以前も数々の試行錯誤を繰り返していたみたいだが)。彗星のごとく現れた彼は、それから、1年を待たずして2万弱の登録者を抱えるYoutuberへと成長している。

 

彼の話をそのままうのみにすれば、広告収入や投げ銭、欲しいものリストの購入や直接の支援などによって、十分に生活ができているようである。というか結構儲かっているらしい。クズがクズをコンテンツにとして提供して、飯を食えるまでになっているのだ。

 

ネットの社会は中川淳一郎氏の著作にもあるように往々にして、ろくでもないもの、ことひと、の集まりだと思う。結局本当の意味で影響力のある人間はリアルでの成功者だったりするし、ネットだけで影響力のある人間はよくよく聞いてみるとよくわからないうたい文句でオンラインサロンを開いていたり、情報商材を売っていたり、訴えられたら負けそうなことをしていたりする。大体、満面の笑みでSNSのプロフィールを作っていることが多く、実に気持ちが悪い。

 

だが、その一方でネットでは時折、ピピピ氏のようなむき出しのクズがクズのまま、躍り出てきて、こうこうと輝きだすことがある。そんな瞬間がとってもエキサイティングだと私は思う。

 

クズなのに仮面をかぶっている奴が大手を振って歩くのではなく、クズだからこその苦悩を抱えていた人間がクズなまま輝きだす瞬間が。

 

ピピピ氏は盛大にクズを売りにしているがその顔立ちや作っているコンテンツの熱量を見る限り、ここに来るまでには人知れず大きな苦悩を抱えていたのだろう。もちろん、苦悩を抱えているかといって、借金をすることやそれをネタにコンテンツを作ることがもろ手を挙げて称賛できるわけではないが。

 

だが、クズなりの「俺はクズだけど、社会に何とか自分を適合させようとしたいけれどもどうにもならない、どうすればいいんだよ、あーー!!」みたいな苦悩は人一倍経験したのだと思う。

 

だいたいこうなると、死のうとしたり、引きこもれるなら引きこもったり、場合によっては国の援助を受けたりしそうなものだが、彼はそのどれも選ばなかった。(引きこもって入るかもしれないが、)彼はクズのままで生き生きと輝く方法を模索したようである。

 

開き直ったクズは強い、なんて話を聞くけれど、確かに彼はどこか開き直った底抜けの強さがあるように思う。クズを売りにする、しかも顔を出すなんてとってもリスキーだ。

 

鬼のようにたたかれるだろうし、Youtubeがうまくいかなくなれば、どうなるかわからない。それでも彼は顔を出し、ネットで生きる道を模索したわけだ。そこにはぎらぎらするような生きる強さみたいなものすら感じる。

 

とはいえ、動画を見る限り、彼が依然として心身共に不安定な状況にいるのも事実で、いつどうなるかは神のみぞ知るという感じでもある。つい先週もマイコプラズマにかかり死にかけていたという。

 

そんな状態でありながらも必死にしがみつき、生きようと奮闘する姿にはたぶん、彼と同じように生きづらさを抱えている人間としては本当に救われる思いになる。

  

ピピピ氏が成功の道を歩んで社会的にはクズでなくなっていくのはちょっぴり残念な気もするが、どうか、死んだりせず、このままうまくいって、みんなの輝くクズの星になれるようにがんばってほしいものである。