いつみても適当

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コンビニでチョコをくれたおばちゃん ありがとう

 コンビニのイートインコーナー、出てきてすぐのころはおにぎりとかカップ麺とかコンビニでちょっと変えるものをちょっと腰かけてパッと食べるようなものだったように思う。

 でも最近は様子が少し変わってきた。2階建てになっているコンビニも増え、2階に小さい自習スペースのような、かなり大きなイートインスペースがあるところもある。お店によってはついたてを設けて、個人ブースのようなものをつくっているところもあるくらいだ。

 そこまで長居はできないし、カフェみたいな居心地の良さもないけれど食事だけでなく、パット資料を纏めたいときとか出先でメールをすぐに送り返さなくてはいけないときとかに非常に便利。そんなわけで最近はカフェ以外にもよくコンビニを利用してちょっとした仕事をしている。

 

 この前もとあるセブンイレブンの雑誌コーナー横にあるイートインスペースで食事を軽く取った後、資料を纏めたりメールを返したりしていた。

 仕事がひと段落して「ふう、じゃあ移動するか」なんて思っていたら、横からにゅっと手が出てきた。赤い何かが握られている。

 

 別に怖いことじゃなかった。隣に座っていた60代後半から70代くらいのおばちゃんが、にこっとしながらこっちを見ている。何のことかはよくわからなかったが、たぶん話がつうじないタイプの危険な人物ではないことは目を見て分かった。

 もう一度しっかりおばちゃんが差し出した手を見てみた。おばちゃんはチョコレートのダースの箱を持っていた。「これを捨てろということなのだろうか」私はそう思った。私のすぐ横にはごみ箱が置いてあったからだ。

 人の好さそうなおばちゃんだし、ごみ箱も近いし、まあもらって捨てておこう、なんて思っていると、おばちゃんがいった。

「買ったんだけど、ちょっと私には多すぎたからあげる」

 

 少々驚いたが、私はその言葉に思わず赤いダースを受け取ってしまった。その姿におばちゃんは一瞥をくれることもなく、セブンイレブンから出ていった。

恐る恐る中を見てみた。ちょうどいい感じに板チョコが半分残っていて、気を使ってくれたのか、銀紙がちょうどいい感じに折れ目にかぶさっていた。

 東京砂漠なんて言われて久しいこの東京で、しかも人情味あふれるなんて言われる下町でもないところでなにやら得体のしれないつきあいが生じてしまった。なんとも不思議な感じだ。私は小さいころ知らない人からものをもらうな、なんて言われて育ったけれども、おばちゃんは違ったのだろうか。

 

 その日は会社のデスクで仕事をする必要があったので、もらったダースをほおばりながら、色々なことを考えてしまった。

あまり甘いものが好きではないので、格別うれしいわけでもないし、実は面倒を押し付けられただけなのかもしれない。でもなんとも言えない、ちょっと得をしたような気持ちになった。

 冷静に考えればちょっと変なおばちゃんにいらなくなったチョコレートを渡された、という、良いことでもなんでもないことなんだけれど、意外と生きていくうえでのちょっとした喜びというのはこういうときに感じるものなのかもしれない。

 

 まあそんなわけで、最近あったことをふと思い出した。別にこれでふさいだ気持ちが劇的に良くなるわけではないけれど、疲れたときに思い出したのだから多分自分にとっていいことなのだろう。もうちょっと頑張ろう。

 

終わり