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しょぼい起業で生きていく えらいてんちょう 感想 死なないための起業という選択肢

読んだ本の感想おば

 

現在”しょぼい起業”コンサルとして活躍する”えらいてんちょう”氏が書いた1作だ。個人的にはネット上で活躍している人のように思っていたのだが、彼の現在の活動のきっかけが大学卒業の間近「何やら、就職は難しそうだぞ」、と思い始めた”しょぼい起業”らしい。

 

そんな、本書はしょぼい起業をしていく上でのえらい氏ならではの考え方が記されている一冊だ。

 

前段階から言うと本書は別に「起業してめっちゃ儲けよう」とか「会社クソ!今すぐ起業しちゃえよ!」みたいな、筆者であるえらい氏が現在も戦っている一部クラスタが発信しているような情報商材じみたものでは一切ない。具体的な方法論が細かく記されているわけでもない。

 

「生きるの辛い?会社無理?バイトもしんどそう?じゃあしょぼい起業で生きる道もあるよ」といった、生き方を提示するものだ。

 

本書に書いている内容を非常に雑に自分なりの言葉でまとめると以下の3点にまとめられる、と思う。

 

・とりあえずやってみる、できるだけお金はかけない

・なんでも金でかんがえるな

・地道が一番

 

えらいてんちょうが提唱する起業は”しょぼい”起業だ。別に高邁な理想も必要なければ、かつかつに決められた事業計画なんて必要ない。要するにとりあえずやれ!ということである。

 

ごたごた言わずに動いてみるということ。この一点に尽きるだろう。

ただ、もちろん起業は一つの事業を起こすこと、きれいごとだけでは済まないし、先立つものだって必要だ。

 

起業するにあたってなくてはならないといっていいのが金だろう。もちろん安い金額ではない。だが、本書はできるだけ安くしょぼく起業することを推奨する。

 

とりあえずやれ!ということには失敗してもいいからやれ!という意味合いも十分に含まれている。安い金額で起業を始めるということは、生きるための起業という上でも、事業を起こすうえでも大切だが、失敗したときにも重要であるというわけだ。

 

もちろん人から出資を受けて金をかけずにどうすればいいかについても本書では「えもいてんちょう」という若いしょぼい起業実践者の実例を紹介しているので安心していただきたい。どうしも金がねぇという方はそちらを参照してみるのもいいだろう。

 

そして、次にあるのがなんでも金で考えるな、ということである。これはお金をかけないという部分とも通じているかもしれない。ただ、微妙に赴きは異なる。えらい氏は本書の中で「生活の資本家」という言葉で説明している。

 

要するに、お店で暮らしたり、例えばリサイクルショップをやるのであれば、仕入れたり、回収したものの中でお気に入りは自分で使い、そうでないものはお客さんに販売するといったことが具体例として挙げられている。

 

なんでもお金に換えて考えてしまうのではなく、生活すべてを資本として扱うのもしょぼい起業らしい。

 

そして最後に地道が一番ということであるが、実際えらい氏が本書で提唱しているあり方は実際のところ、一般的な起業のイメージとは大きく異なるかもしれない。

 

めちゃめちゃお金は稼げないし、別に華やかでもない。とにかく地味だ。広告を打って大々的に事業を宣伝することもない。地域に密着し、頭を下げ、お金をかけずに人の役に立つことを考える。そしてお店が愛されるようになる。

 

正直なところ、しょぼい起業は生きているうえで大切なことを地道にやるということであることのように本書を読んで感じた。実際あまりにも当たり前の事と言えば当たり前のことだ。

 

社会でまともに生きていくのは難しいならしょぼい起業もいいかも

 

だが、世の中では人を人とも思わない人間が成功を収めることも少なくない。とかくまじめに一生懸命に生きようとする人が損をするようなところがある。

 

本書が提示するしょぼい起業は一般的にイメージする起業と比較すればしょぼいものだが、実践し、継続することは決して楽ではないだろう。

 

だが、まじめに生きてもどうしてか躓く、自分の価値観が合わない。生きていくのがつらい、なんて思ってしまったら、死んでしまう前にまずはしょぼい起業を試してみるのもいいかもしれない。まあ本当にこれでもダメだったら生活保護を受けたりすることを考えてみてもいいのかもしれないだろう。

 別に何をしたっていいのだ、死ななければ。本書を読むとそうした気づきが得られるように思う。

ちなみに本書の後半では実例や気鋭の作家であるpha氏や借金玉氏との対談もあり、読み物としても十分に楽しい。

 

おすすめの一冊だ。