ライブレビュー Yolatengo 坂本慎太郎ダブル追加公演 10月11日
ついに伝説をこの目で見ることができた。
ゆらゆら帝国が解散した後に彼らを知った世代である私にとっては坂本慎太郎はある種レジェンド、そんな彼が2017年末にライブを再開してから初めてライブを観戦することになった。
長年の盟友(なのかもしれない)Yolatengo来日公演とのジョイントライブである。ちなみに首都圏で行われる坂本慎太郎のライブとしてはこれがラスト公演。たまたま、チケットが当るという幸運に恵まれたので、期待を胸にライブ会場であるShibuya Oestに。
開場前、ドリンクの600円を用意しようとしたところ、500円をすのこ上になっている、会場入り口付近の床に落としなくす、という悲劇に見舞われたものの、何とか会場に足を進める。
坂本慎太郎ということで高い年齢層を考えていたのだが、意外や意外、10代頃とみられる若者も多く、会場に足を運んでいた。昨今のnever yong beachなんかが大っぴらに坂本慎太郎好きを公言している影響というのもあるのだろうか。
500円を落とした感慨にふけりつつも、待っていると開場時間となり、中に歩みを進めることに。そばにいたチケットをくださいと書かれたA3ほどのでっかい紙を掲げたでっかい初老の白人男性が印象的だった。
開場にある、公園にも置いてありそうなU字型の柵に腰かけて待っていると、坂本慎太郎が好みそうなアングラ系の昭和歌謡のSEが収まり、ぬらっと彼らが現れた。
メインはyolatengoということで、最初に登場したのは坂本慎太郎。やっぱりギターはSGだ。アンプはSuproの小型のものを2台使用。もちろん全然ひずんでいなかった。
ベースのAya ドラムの菅沼涼太 そしてサックスやパーカッションを担当した西内徹を伴って、袖より現れる。思ったより神々しくはなかったが、やはりそこには坂本慎太郎がいた。
ちなみにベースのAyaは角度の都合やサングラスをつけていたりしたことが多かったので、これまで顔を見たことがなかったのだが、かなりの美人、やべぇ。
仮面を外さないで、別の星、まともがわからないなどこれまでに発売したアルバムからの楽曲をまんべんなく演奏していく。
坂本慎太郎、のどの調子が思わしくなかったようで、時折声を詰まらせながらも演奏する。あの坂本慎太郎いえどやはり50代、年には勝てないのかもしれない。
ライブ中には「つらいんでみなさんで歌ってもらって」と坂本自ら笑いを取りに行くような場面も。ゆらゆら帝国時代の映像から見ても感じられるような鬼気迫る感じはさすがにもう、なりを潜めていた。
だが、名プレイヤーが集まったバンドの演奏は「すさまじい」という言葉そのもので、ほとんどMCをすることもなく息をつかせぬまま、続いていく。道中ジェームスマクニューが登場する憎い演出もあり、ライブは終了。
しばしの休憩をはさんで、Yolatengoが登場。正直に言うと私はYolatengoを多少知っている程度でしかなかったので、両隣にいたライブ猛者と思わしき人たちの会話を小耳にはさみながら、ライブを楽しむ。
CDで聞くだけではわからない、轟音をたしなんだ。すさまじいものである。一見単調に見えるリズム隊も、一糸乱れず続くと、思わず体が揺れてくるようなトリップ感があった。やはり30年近くライブしているバンドである。
2回のアンコールに答え、1回目には坂本慎太郎が登場するという、サプライズも。SGを持ちフェンダーのひずんだアンプにつなぎ、ゆらゆら帝国時代をほうふつと支えるような狂気を感じさせるような姿でYolatengoとともに、Velvetundergroundの名曲 RunRunRunを弾きまくる坂本慎太郎。個人的には11日ベストな瞬間であった。
本人は少し嫌だったのかもしれないが......
いろいろ書いたが、500円をなくしたことをのぞけば最高の一夜だった。このブログを見たかたも、ぜひ機会があれば坂本慎太郎さんのライブ見に行ってみていただきたい。
さいこうだぞ。