いつみても適当

ブログです。

鼻くそを食べてたら弾劾裁判にかけられた

多くの人が経験しているかもしれないが、私も幼いころ鼻くそをよくほじくっていた。それだけでは飽き足らず、なんと私はそれを少しかじりもしていた。

 

今思うとなぜ人差し指についた、なんとも言えない色の粘り気のある物体を口に運んでいたのか、その理由はよくわからない。でもまあやっていた。

 

結局今もたまに鼻はほじくっているものの、私は小学校高学年に入る前に車の排気ガスにまみれていたり、得体のしれない汚れにまみれていたりする鼻くそを食べるという行為は普通に考えてちょっと危ない、という当たり前のことに気づき、鼻くそを食べることは意識的にやめるようにした。

 

ただ、鼻くそを食べることをやめることになった遠因はもう一つある。それはクラスで弾劾裁判にかけられたからだ。

 

運動がうまくできなかったり、鼻くそをほ行ったりとはたから見ればおそらく奇異なことをしていた私は当時嘲笑の対象になっていた。まあ今考えれば当たり前ではあるんだけれども。

 

「おい、鼻くそほじってんじゃねぇーよ(笑)」

 

みたいなもんである。

 

当時から鈍感だった私は「まあ色々いわれているなあ」くらいに思っていた。反論したり、変に静かにしたりしていたらからかいがあったのであろうが、からかう方はそれでは気に入らなかったらしい。ある日中心人物がホームルームの時間、唐突に

 

「先生、ようさん君がはなくそ食べるのやめろって言っているのにまだ食べてるんですけど(笑)」

 と言い出したのである。

 

私が通っていたクラスではホームルームの時間弾劾裁判のような時間が設けられていた。やれだれだれが掃除をさぼっただ、なになに君をだれだれをいじめていただ、そんなことをいうのである。今考えれば生徒にこれをさせる教師はどうかしているのだが、まあ仕方がない。それで小さな世界が回っていた。

 

そして、とうとうネタがなかったのか私の態度が気に食わなかったのか、私が鼻くそイーターであったことが理由で弾劾裁判が開かれてしまったのである。ただ今冷静に考えるとこんなこと実にくだらないので、笑ってまじめな内容に切り替えれば良かったはずなのだが、私の担任だった教師は違った。

 

「ようさん君、鼻くそを食べているのは本当ですか?」

 

普通だったら吹き出しそうなセリフを教師はよどみなく私にぶつけてきた。しかも目は真剣だった。「鼻くそを食べるなんて......私の教師生命にかけて、自分の生徒にそんなことはさせない!」そんな感じの決意がにじんでいた。

 

当時私は、いたいけな子供だったので「鼻くそを食べることはそんなに悪いことなのか」と自分の罪の重さにさいなまれそうになったのだが、今考えると実にくだらない。

 

ともあれ、私は弾劾裁判で自分が鼻くそを食べていることを認めた。鼻くそを食べること=悪であることはすでに一方的に決められており、罪を自ら認める形になってしまった私は「鼻くそを食べた」という罪状でむこう1か月鼻をほじくること及び食鼻くそを禁じられてしまったというわけである。

 

結局私はそんなことを無視して体育の時間や授業中のチョットした合間に鼻くそをほじっては口に運ぶということを続けていたわけではあるのだが......。

 

実際のところ、それからしばらくして弾劾裁判等関係のないところで冷静に考えた私は「なんか鼻くそを食うの違うな」という至極まっとうな結論にたどり着き、鼻くそを食べることをやめた。

 

 鼻くそはめちゃくちゃ汚い。しかもそれを食うのはなんか不気味、ダサい、ちょっと気持ち悪い。とかいう前に普通にやめておいた方がいいと思う。

 

ただ、やはり少数の嗜好を多数の人間が数の論理でやり込めるのはどうかしているような気もする。納得させるなら色々と合理的な話し合いを設けたって良かったように思う。

 

なんて思いながら実は私は今でも無意識に鼻くそをほじくった指を口に運んでしまうことがたまにある。もしかすると弾劾裁判にかけられた経験を思い出しているのは自分の行為を肯定しようとしているだけなのかもしれない。

 

終わり