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那須川天心、フロイド・メイウェザー戦に感じた居心地の悪さ

12月31日大晦日、恒例となっているRIZINで世紀の一戦と銘打たれた試合が行われた。

キックボクシング界の神童とうたわれる那須川天心(20)と50戦無敗、5階級制覇を果たした稀代のチャンピオンフロイド・メイウェザーとの一戦である。

 

エキシビジョンマッチとはいえ引退したフロイド・メイウェザーがリングに上がることから、かなりの話題になっていたように思う。

もちろんそこには単に期待感だけではなく、果たして試合として成り立つのかということもあったのかもしれないのだが。

 

試合自体は正直なところ、不安が的中する形になったと思う。試合はメイウェザー側に忖度したようなルールで行われ、5㎏近く体重が上、さらにボクサーとしても一日の長があるメイウェザー那須川天心を一方的に殴り倒すような形になった。

 

キックボクサーとして普段戦っている那須川天心メイウェザーに本気を出させたということに一定の評価を下す見方もある一方で、この試合が世紀の茶番だと感じた人間も少なくないようだ。

 

私個人としてはそもそもエキシビジョンマッチなので茶番というのはどうかと思ったが、どこか見ていて居心地の悪さのようなものを感じたのも事実だった。

 

正直なところ、繰り返し写された、いかにも金のためにオファーを受けました、という感じのメイウェザーの態度とそんなメイウェザーに憤る那須川天心陣営の姿、そしてその後のTKO劇はなんというか見ていて切ないものがあった。

 

THEPAGEなどが報じているところによれば、榊原信行RIZIN実行委員長はこの試合に関して

「体重差のある試合はすべきでなかった? それはわかっている話で、そういうのを見たい人はボクシングを見ればいい。階級は重視すべきだと思うが、今回は競技の枠にはおさまらない競技で見られないものを見せようとした」と語ったようである。

 

確かに1時間近く続くボクシングの試合やきっちりとしたルールの元、爽快なKO撃が見られないよう配慮された格闘技の試合は見る人によってはつまらなく感じるのかもしれない。

 

だが、そのルールによって戦う人間たちの命が守られているのも事実だろう。今回の試合に関しても競技的なものを目指すわけではないからこそ、体重差やルール面(例えば那須川側はキックボクシングスタイルなど)配慮すべきではなかったのかとも思う。

 

繰り返しになるが、私を含め多くの視聴者は無謀なルールで天才那須川天心が一方的に打ちのめされる姿を見たかったわけではなかっただろう。

 

結果としてそうなったのであれば仕方がないが、見た人間がそう結論を下すには今回の試合はあまりにも無謀だったとしか言えないように思う。確かに巨額の金が動き、忖度しなくてはいけない部分もあったのかもしれない。だが、あまりにもずさんではないだろうか。

 

2015年の青木、桜庭戦で見られたレフリーの対応や今回のメイウェザーとの一戦もしかり、RIZINは、おもしろい試合、エンターテインメント性の高い試合の名のもとに、格闘家を軽視しているような対応を取っているように見えることが少なくないように感じる。

 

報道を見る限り、今回の試合で那須川天心が精神的に応えていないようだが、エンターテインメントの名のもとに若き才能、ひいては一人の人間の人生がめちゃくちゃにされるようなことがないことを祈るばかりだ。